卒業生に聞く在学中のリアル

山本 秀彦(やまもと ひでひこ)さん

在籍していた学科・研究室 共生バイオサイエンス学科・植物病理学
就職先・役職 クミアイ化学工業株式会社
卒業高校 山口県立徳山高校

自分の興味に全集中、その後は研究活動に

自然科学に興味があったことから農学部を選えらび、自然豊かで暖かそうな地域にある静岡大学に入学しました。最初はアルバイトと学祭実行委員の活動に明け暮れました。お金をもらって働くことの大変さと、メンバー一丸で企画運営することのやりがいを体感した貴重な時間でした。

研究室を選ぶ頃に勉強に本腰を入れ始め、そこで興味を持ったのが植物病理学、遺伝子工学でした。一見動かない植物が病原体と戦う分子機構を持っている事、これらの事象を分子レベルで解きほぐす事、難解だからこそ面白さを感じました。所属した研究室では、病原細菌の鞭毛タンパク質に対する植物の応答解析をテーマに、人工的に合成したタンパク質をポット栽培の植物や試験管内で培養する細胞へ与え、組織・細胞・遺伝子といった幅広いレベルで反応を調べました。様々な実験方法とそのアドバイスをくれた先輩方、異文化交流でもあった留学生、そしていつでも相談に乗ってくれた先生方、とても感謝をしています。専門性を深めるため進学した大学院では更に研究に没頭し、沢山の実験、文献調査、推敲を繰り返す論文作成など熱中した事を覚えています。

研究から営業まで、常に挑戦 目標は社会の役に立つこと

大学院生の時に参加した病理研究会にて聴いた、農薬の殺菌剤に関する講演が農薬メーカーへの入社希望のきっかけでした。ヒトや環境には安全でありながら、植物を病気から守る農薬の技術に感銘し、これが植物病理学の他に有機化学、毒性学、環境科学、遺伝子工学など…多角的で緻密な研究を経て創り上げる壮大な仕事に惹かれました。

願い叶って、クミアイ化学工業㈱に入社し、最初の6年間は研究所で新規殺菌剤の探索研究をしました。ラボ・ポット・圃場試験など様々なデータから化合物群の活性ポテンシャルを分析、合成チームとの協議も重ね、未来の新製品の種を生み出すべく研究に取り組みました。

その後、海外営業部へ異動し、5年間欧州向け販売を担当。研究とは全く違う仕事に悪戦苦闘でしたが、これも“自分への挑戦”と捉え、上司、同僚、関係部署の方々から日々吸収しながら業務に取り組みました。 現在は欧州現地子会社K-I Chemical Europe(ベルギー)に出向しています。開発・営業担当として、現地パートナー会社との折衝や、現地からの情報発信に日々奮闘しています。企業活動を通して社会の役に立てるよう、海外生活も含めて更に経験を重ね、これからも挑戦を続けていきます。


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