教員・研究案内

持続可能型農業科学研究室

南雲俊之

農業のもっとも重要な役割は,食料を生産し供給し続けることです。土壌はその生産基盤です。持続的な農業生産のために,土壌資源の保全とそこから生じる環境負荷の削減が求められています。当研究室では,農業生態系の物質循環に関する研究を行っています。これらの系でのモノ(肥料,堆肥,食料など)の投入や移動は人間活動そのものであり,環境への負荷はその所産です。現在,栄養塩(N,P,Siなど)を対象にフィールドでのモニタリング研究を中心に推めています。

〔河川流域の農業土地利用と窒素・リン負荷〕
河川は陸域と水域をつなぐ重要な物質輸送経路です。また河川水は農業用水や水道水源にもなります。現在,農地からのN・P負荷が問題視されています。静岡では茶園がN負荷の重要な発生源です。一方森林や水田も多く,その水質保全機能に関心が寄せられています。流域の土地利用に注目し,N,P濃度との関わりを研究しています。

〔陸域から水圏へつながるケイ酸動態〕
陸域河川によるSi供給は水圏生態系を支える重要な要素です。現在,人間活動(ダム建設が有名です)による減少が懸念されています。これまで溶存Siの動態は非常に多く研究されてきましたが,粒子状Siでは少ないようです。粒子状Siを含めたモニタリング研究を行っています。

〔本当に必要なリン肥料はどれくらいか?〕
現在,多くの農地で過剰なP集積が生じています。その大部分は土壌に保持されていますが,わずか数%の流出でも環境負荷の観点からは問題になりうることが指摘されています。現在,水田を対象にP投入と土壌のP状態(status)の変化,その流出リスクとの関係を研究しています。また水稲のP利用効率の解析を推めています。

〔有機栽培の期待と限界-適正な有機物施用はどのようなものか?〕
最近,有機栽培圃場での養分集積が指摘されています。資材・作物に応じた使い分けや投入限界の設定が必要と考えています。現在,水稲栽培と葉菜を対象に収量と養分利用効率,環境への養分流出の観点から検討しています。

〔地域の食料システムの物質循環〕
輸出国→輸入国,農村→都市の間での人の食料や家畜飼料の移動は,養分の移動を伴います。その結果養分が集積し,廃棄物が集中すると環境負荷を生じます。この物質フローを定量的に把握し,環境負荷につながらないよう管理するシナリオを考えていきます。

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