教員・研究案内

広域生態学研究室

王 権

森林は地球温暖化対策として期待されるCO2吸収源としての機能の他、様々な公益的機能を有しています。こうした機能は森林の持つスケールメリットにより効果的に発揮されるもので、広域・流域レベルでの評価が必要になります。そこで、私どもの研究室では、森林を含む広域生態系の物質生産・物質循環の解明とそのアプリケーション開発を主なテーマとしています。具体的には、リモートセンシング・ガスフラックス法・生理生態モデルなどを用いてピンポイント的に得られた森林の生理機能をより広い地域の事象の情報に拡張するための研究やその評価に関する研究に取り組んでいます。特に、CO2と水の収支・循環に関する研究を行っています。

1)苗場山ブナ林物質生産・物質循環に関する研究
研究対象地である苗場山には標高550mから1500mにかけてブナ林に被われています。そこでは1970年から今日まで標高別に設けられた成長固定試験地のモニタリングによりブナ個体動態が調べられています。また、標高の異なる3カ所に、樹冠層を超える大きな観測塔が設置され、30mを超す大きな樹木を対象に、光合成・蒸散速度の測定が行われています。個体レベルで記述できるシミュレーションモデルによる解析が行われています。生理作用に影響を与える光環境、土壌水分、空間構造などの研究も行います。

2)リモートセンシングに関する研究
個葉およびし、生物学的なパラメータの個葉、樹冠、生態系レベルでの関連性を評価し、スケールを拡大していきます。温暖化環境下にある森林生態系におけるガスフラックスを長期的にモニタリングする手法も確立します。複雑な地形を有する山岳地帯においてリモートセンシングデータによって、生理学的なパラメータの推定を高い精度で推定できる手法を開発します。

3)異なるガスフラックス交換モデルに関する研究
複雑な地形の山岳地の気候の推定及び渦相関観測データの校正と応用。流域レベルの炭素、水循環のシミュレーションモデル開発を重点的に行っています。

4)乾燥地における研究
乾燥地の自然植生を生かした環境保全や炭素固定の研究を行っています。西オーストラリア、中国(タクラマカン沙漠、黄土高原)、ブルキナファソ(西アフリカ)などに研究の拠点を設けています。研究手法は植物の生理生態学的な機能、モデリングとリモートセンシング技術を組み合わせたものです。水収支のモデルを利用して特定流域を対象とした新しい灌漑システムの設計やモニタリング、環境保全に関する企画なども手がけたい研究です。現在タクラマカン沙漠における塩類土壌の炭素吸収についての研究が開始されました。

西オーストラリアでの炭素固定研究(ユーカリ林)
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樹冠スケールで分光反射特性測定
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不適切な潅漑による塩類集積した耕作地の拡大. こんな所も炭素吸収?
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