教員・研究案内

植物機能生理学研究室(原)

原 正和

本グループにおける最終的な目標は、植物特有の機能を物質レベルで理解し、その機能を有効利用するための学術情報を蓄積し、社会に発信することにあります。具体的には、次の2つの課題を設定し、日々研究に取り組んでいます。

[1]植物における低温ストレス蛋白質に関する機能研究:過酷な環境で生存を可能にする植物固有の蛋白質デハイドリン(LEAタンパク質グループ2)の機能解明を進めています。デハイドリンは、特定の二次構造をとらない天然変性蛋白質であり、機能は十分理解されていません。当研究室では、遺伝子組換え植物を作出してデハイドリンが植物の低温耐性を高めることを示したうえで、ラジカルを消去して脂質の過酸化を抑制すること、特異な不定形凝集体を形成して重金属を隔離し、レドックス活性を抑制することを見出しました。現在、デハイドリンの配列-活性相関から、凍結失活酵素の保護に必要な条件を見出し、植物の低温耐性獲得機構の解明を進めています。

[2]植物の熱耐性向上に関する応用研究:地球温暖化と気象変動は、農業生産にリスクをもたらします。特に、熱波は、世界の植物生産を質・量ともに低下させます。私たちは、圃場における熱波によるダメージを軽減する農業資材を、熱耐性向上剤と位置付け、新たな技術カテゴリーとして提案しています。まず第一弾として、天然由来の熱耐性向上剤を開発し、国内のある企業が、私たちの技術を活用して商品化しました。この資材は、生物に共通した高温耐性メカニズムを活性化するため、作物の品種に関わらず広く適用できます。私たちは、より安全で有効な製品を開発すべく、熱耐性向上剤の候補物質の探索と作用機構を研究しています。

 


植物ストレスタンパク質デハイドリンの機能。天然変性蛋白質の柔軟性と配列特性から多面的な機能を発揮すると考えられています。


天然デハイドリンの調製。穀物種子から多段階を経て精製されるデハイドリンですが、ダイコンから簡単な処理で効率よく精製する方法を見出しました。


植物の熱耐性を向上させる物質(HTLEs)を開発しました。現在、国内企業により商品化されています。高温に対する生物の基本応答メカニズムを利用しているため、品種に関わらず適応できます。

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